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10月17日(木)、退院かも
 昨日からこの不自由な環境の中で、2つのことを始めた。一つはできるだけ歩く事。この当たり前の事(初歩的なこと)を頑張らなくてはならないとは実に悔しいのだが、病人の身ではそれも致し方ない。朝食後、昼食前、夕食前に30分程度、1階ロビーを歩く事にした。できるだけ、外の風に当るようにした。もう一つは、10月の情報処理国家試験を完全に諦め、12月1日のNTT試験を目指しての勉強を少しずつ始める事。これで、無駄な時間が少しでもうまれば。
 なにかをやる気になったきた。元気になってきた証拠だと考える事にした。今日から、「療養のしおり」により、看護婦から話があるようだ。昨日渡されたしおり、私の冠状動脈の狭窄状況と処置内容が図解して書いてあった。狭窄率を見てホッとした。もっと狭窄が酷いと思っていたからだ。自分の心臓状況だけは詳細につかんでおかなければならない、謙虚に指導を仰ごう。それにしても最大心拍数を105に抑えるという1行にはまいった。およそ現実的ではない。そんな心拍数では日常生活すら難しいのではと、頭を傾げたくなる。それだけ心臓が壊れているのだろう。
 病院から一歩外に出ると、風が妙に冷たい。季節は完全に秋になっている。急激な体重の減少が温度調整を難しくしている。今、自分ができることを精一杯に、私にはそれだけしかできない。
 昨日から、気を入れてNTTダブルスターの勉強を始めた。この入院でなにかを得なければという気持の焦りが、そんな行動を取らせる。人間は、本当に弱い生き物である。いや、私だけがそうなのかもしれない。なにもする事がないストレスに耐えられないのである。自分の病気の行く末、これからの生き方、考えなくてはならないことは山ほどある。ストレス解消というのは逃げで、単にそんなことは考えたくないという、現実逃避だけかもしれない。それにしても入院生活の一日は長い。

 夜、T医師がきた。「明日、エコー検査をします。まぁ、血栓が解けていなくても、家に帰って安静にしてもらい、検査だけ受けにきてもらっても良いかも」と言った。言葉からすると今回も血栓はとけていないだろう。「危険な状態なのか」と聞くと、「この血栓が脳血管に詰まるようなことになれば、社会復帰は難しい重症な障害が起こる。現状ではその危険は少ないと思われるが。」と言った。患者は、精神状態が不安定だ。自分の病状を冷静に知る事は必要なのだが、悪い事はあまり知りたくないという気持が強い。早く家に帰りたい。本音である。