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(平成15年6月11日、水曜日、梅雨)
 昨日、中部地方も梅雨入りした。相変わらず浅い眠りの中で雨音を聞いたような気がする。眠りは浅いのだが、今朝の目覚めは6時であった。病室から外を見た。路面は少し濡れていたが雨は降っていなかった。私の病室は10階の1058号室で南向きの4人部屋である。県庁、市役所等の官庁街を一望できる。中央にはテレビ塔が、右手には名古屋駅のツインタワーが立っている。夜ともなれば素晴らしいイルミネーションの世界になる。

 術後以来続いている蓄尿に部屋をでる。尿を溜めた後、何気なく鏡で自分の姿を見る。喉もとから縦に切開の跡が見える。少し赤く腫れあがっているようだ。この傷はこの先どうなるのだろうとチョッと不安になる。これでは皆と一緒に温泉に入るわけにもいかない。少し暗い気持になったが、それを代償に命をながらえたのだ。

 午前中のガーゼ交換で、お腹の中に最後まで入っていた電線(ワイヤー)が抜かれた。電線は2本あり、2本とも腹部に糸で縫いつけてあり、その糸を切って抜き出すのである。抜く時の感じを言葉で表現するのは難しい。ただ、十分に我慢できる痛みであった。「これで明日からはシャワーがOKだよ」と担当医が言ってくれた。体の傷口から想像すると、そこから水分が体内に入ってくるような気がするが、人間の回復力はそれほどにも素晴らしく神秘的なのだろう。この調子でいけば予想以上に早く退院できるかもしれない。

 午後からクーラーが入った。それはそれで嬉しいのだが、薄着をしている患者にとっては結構つらいものがある。早速、肌着を着たのだが、心電モニターからでている線が邪魔になって思うように着替えが上手くいかない。まぁ、この姿で往来を歩くわけではないので格好なんかかまってられない。風邪でもひいたら大変である。