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(平成15年5月25日、日曜日、穏やかな気持)
 眠剤を飲んだが、早朝3時に目が覚めた。これは長年の習慣なのでなかなか変わらないようである。カーテンで四方を囲まれたベット。他の患者に気を使いながら壁際の蛍光灯を点ける。入院の際に持ち込んだ「ホームページビルダー7/パ−フェクトマスター」(秀和システム)を読むことにした。こんな時間にこんな事をする意味はあるのだろうか。読んでいるが内容は全く頭に入ってはこない。退院したらこの資格試験を受けたいと思っている。全ては手術が上手くいっての話なのだが..........

 今朝から蓄尿検査が始まる。明朝までの24時間、全ての尿を溜めなければならない。検査の目的はと聞いてみたが納得ある答えは返ってこなかった。トイレにいって尿瓶に尿をとり、私専用のビンに溜めていくのである。大便の時の尿も取るようにいわれた。これは難しい。それ程厳密な検査なのだろうか。今日は少し鬱陶しい一日になりそうだ。
(後日談:手術後、心不全を起こすことがある。その兆候を早めにつかむ為には尿の量が目安となる。心不全になると水分の排出が上手くいかず体重が増え、手足がむくみ、やがては死に至るそうだ。だから正常時の尿量と術後の尿量の比較は非常に大切なのだ。)

 病棟の廊下でバイパス手術後の患者に会う機会が多い。症例数が多いのだろう。大きなガーゼを胸に張って車椅子に乗せられている。皆同じように元気がない。それだけ大変な手術だったんだろう。私はできる限り見ないように目を伏せてすれ違うようにしていた。廊下で見たことのある人に出会った。私が2月に入院した時に同室だった人である。3月8日にバイパス手術をしたはずなのにと不思議に思った。痩せて生気がまるで無かった。彼の身に何が起こったんだろう。女房殿が事情を聞いてきた。バイパス手術は無事終ったのだが、リハビリ中に骨膜炎になり再手術を受け、意識不明期間が20日間にも及んだという。それを乗り越えるために入院がここまで延びたそうである。早く元気になってもらいたいものだ。とても他人事のようには思えない。それにしても人間はなかなか死なない生き物だなぁと変な自信が湧いてきた。チョッと不謹慎である。

 不思議に気持は穏やかである。手術は目前に迫っているが他人事のように感じる。月、火、水曜日、後3日後である。全身麻酔の手術なので、その間意識がないことが、私に安心感を与えてくれている。どうやって麻酔をかけるんだろう。苦痛はないのだろうか、麻酔にかからないこともあるのか、覚めないこともあるのか...考え出すときりが無い。意識が無い事だけが恐怖感を和らげてくれている。なにを考えても私の力ではどうすることもできない。最悪のことを考えてもそれを回避する手段を私は持たない。となれば考えるのは無駄である。好きなことをやり、楽しい思い出だけを反すうすることにした。