私としては珍しく1週間前にチケットを購入して、この日を楽しみにしていた。名古屋から7時30分発高速バスで金沢へ、ワシントンホテルで1泊し、翌日17時30分の高速バスで帰る。それが今回の予定であった。天気予報はその日が雨であることを告げていた。私も数日前から空模様をみながら、なんとなく雨だな予測はしていたのだが。それが現実に...
高速バスは、雨の中、光の中、あられの中、目まぐるしく変わる天候の中、4時間走り、金沢に着いた。空は今にも泣き出しそうである。私は武蔵ヶ辻でバスを降り、近江町市場に向った。金沢に着いたら昼食はここで海鮮どんぶりを食べることに決めていた。しかし、空模様を考えると、ここでゆっくりとしているわけにはいかなかった。私は空腹感というストレスを抱えて、ひがし茶屋街に向った。地図は持っていないので、方向だけを頼りに南東に向って歩いた。浅野川に出た。川沿いをしばらく歩くと、「主計町(かずえまち)茶屋街」に出た。(この漢字はなかなか読めない。)コマーシャル写真で見たことのある風景であった。ここを「ひがし茶屋街」というのかなぁと勉強不足の私は思っていた。写真をパチパチと撮る。最近やっと少しではあるが構図というものを考えるようになっているので、撮影にはそれなりの時間がかかるようになった。
茶屋街をゆっくり歩く。それを抜けると浅野川大橋に出た。ひがし茶屋街という標識を見ける。ラッキーであった。私は導かれるまま歩いていった。10分もすると私の目の前には”これが金沢だ”という風景が広がった。ひがし茶屋街である。その時、我慢してくれていた空から雨が落ちてきた。傘をさしての撮影になってしまった。数枚の写真を撮り、茶屋街の喫茶店に飛び込む。ここで金沢の話を聞く。この時間が旅する者には貴重だ。金沢弁なのだろうか少しアクセントが違う。その語りに不思議に金沢を感じてしまう。雨が小止みになったので、お礼を言って店を出る。私は、少しぐらいの濡れは仕方ないと割り切っていた。カメラを濡らさないように構図を考えながら写真を撮る。結構な時間がかかる。50枚程撮る。親切なボランティアの説明を受ける。この辺も景気が悪く、一見さんでなくても予約さえすれば遊べるそうで、2時間で15万円ぐらいかかると言う話である。この茶屋街には芸者さんが30人ぐらいいて、結構若い人が芸者になりたいとやってくるそうで、姥桜ばかりではないと強調していた。茶屋の見学を勧められたが雨が降っていたので、お礼を言って、ひがし茶屋街を後にした。腹が減っていた。
近江町市場に取って返し、「マグロ丼 1400円」を堪能する。兼六園に急ぐ、ナップが肩に食い込む。雨は本格的に降ってきていた。時刻は14時。私は一先ずホテルにチェックインをして身軽になる事にした。この日は、JTBで宿を取ってもらったのだが、金曜日ということで、思うような宿が取れなかった。それでも、金沢の繁華街である片町に宿泊が決まっていた。タクシーでホテルへ行き、身軽になった私は、足取りも軽く、片町、香林坊と歩き、兼六園に向った。正に本日のメインイベントなのだ。兼六園は、雨降りの平日ということもあって、人はまばらであった。傘をさしての撮影では納得がいくはずもなかった。それでも、徽軫灯籠(ことじとうろう)を撮る。傘が邪魔である。そうそうに兼六園を後にした。明日の天気に賭けるしかなかった。朝は7時に開園するようだ。
金沢公園、尾山神社を抜け、長町の武家屋敷跡に向う。雨は止まない。観光客が少ないのを幸いにシャッターを切る。今回の旅は写真撮影に力点がある。この金沢を私が持ってるイメージどおりに撮れるかどうかが楽しみであった。香林坊のデパートでラジオを買う。ラジオがないと眠れない私である。ホテルに帰り夕食をとることにした。食事はこのホテルの10階にある懐石料理屋ですることになっていた。今回の宿泊で食事も込め込みにしたのだ。雨で気分を壊していた私は、ここで決定的に気分を壊すことになる。込め込みにしたので料金は定かではないが、出てきた料理の貧相なこと。私は、怒りながら、ビール1本700円を払い、空腹のまま、そうそうに店を出た。腹立たしかったのだ。空腹を満たそうと近くのコンビニで475円の弁当を買う。怒りで気持ちが治まらない。やはり、料理は地元で自分の好きなものを食べるという今までのスタイルが一番だと深く反省した。
眠れない夜を過ごした私は、早朝6時にホテルを出た。犀川(室生犀星の名もここから来ている)大橋を左に折れ、「犀星のみち」を歩く。名古屋と違い空気が澄んでいる。その分、寒い。少し薄着で出てきたので震えがくる。残雪の山々が遠くに見える。散歩する人と挨拶を交わす。時間を見ながらウオーキングを楽しむ。午前7時。私は兼六園前に立っていた。一番乗りである。どんよりと曇っていたが、雨がない分、昨日とは大違いである。軽快にシャッターを切る。構図を十分に考える余裕があった。観光写真ばかりでなく、「4月の今」というテーマを決め、シャッターを切った。その写真の出来栄えが楽しみである。
金沢には、「主計町茶屋」、「ひがし茶屋」、「にし茶屋」の3つがある。3つ目の「にし茶屋」に向う。ここは規模が小さくあまりお勧めできない。私は昨夜の睡眠不足で眠くて仕方なかった。ウオーキングにも覇気がなかった。
一先ず、金沢駅に出る。まだ、10時である。内灘の砂丘でも見ようと切符を買う寸前までいったが、必ずしも行きたいというわけではなかったので、止める。そこには以前行ったことがあるが、被写体になるものはほとんどなかった。映画でも見ようと映画館を探すのだが、これが全く見つからない。だらだら歩き出したのだが、余計に睡魔が襲ってくる。バスは、今夕の5時....私は決断をして近江町市場に向った。蟹、ホッケの干物、鯵の干物、甘エビをしこたま購入した。大きくて重い保冷用箱が荷物となった。私は、バスで再び金沢駅に向った。JRバスセンターへ行き、「11時30分のバス券に換えてください」と言った。幸い、混雑はしているようだったが空席が見つかったようだ。私は、6時間も旅を短縮して名古屋に向った。
全く予想外の展開で帰ってきてしまったが、金沢は十分に堪能できた。兼六園の四季を撮影するなら、少し強行スケジュールかも知れないが、高速バス往復の日帰りでも十分だと分かった。金沢の街を20kmは歩いただろうか、帰宅すると体中の筋肉が硬くなっていた。明日は日曜日なので体を休めなければならない。好きなことをさせてくれている女房殿に感謝!感謝!である。