この旅は、私が何気なく言った「奈良のお水取りが見たいなぁ」ということから決まった。2月上旬のことである。孝行娘が二人付き合ってくれるという。女房殿は初めての奈良旅行ということで随分と喜んでいた。
午前8時少し過ぎ、車で奈良に向かった。 お水取りが終わらなければ関西に春は来ないといわれている。奈良時代から一度も休むことなく続けられてきたこの行事。今年で1,250回を越えるという。松明(たいまつ)の火の粉をかぶると、その1年は健康で過ごせるそうである。
この日は、最悪の日になった。私は流石の雨男ぶりを発揮した。あられは振るは、雪は振るは、雨は振るは、太陽は顔を覗かせるは、この日は天気予報の全部が起こった。最悪のコンディションだったが、興福寺→奈良公園→東大寺→2月堂→春日大社→近鉄奈良駅→唐招提寺→薬師寺と周り、19時30分からのお水取りに備えた。
19時を少し廻ったころ大仏殿の裏手に着いた。警察官が沢山でて交通整理をしている。2月堂へは近づけないと言っている。事情の分からない私達は不満であった。人の流れについていくと、2月堂をはるかに望む駐車場へと入っていった。どうやらここから松明の明かりを見るらしい。不満たらたらである。まるで、花火大会のようである。大勢の人が松明が燃えるのを待っている。私も写真を撮ろうと頑張ったが、この距離ではとても無理であった。定刻どおり松明に火が入った。しかし、詳細はまるで分からない。10分もすると見物客が帰り始める。こんなものであるらしい。ここに来て、松明の炎を見て、1年の健康を祈願する。それがお水取りのようである。私達も帰宅の途についた。