週末は台風15号の影響で雨であった。台風一過、今日は晴天であった。それに誘われるように家を出た。何処へ行こうという目的があるわけではなかった。肩にかけたかばんの中には分厚いPhotoshop(フォトレタッチソフト)の参考書が入っている。パソコンの前での勉強に嫌気がさしていたので環境を変えたかったのだ。今の私はPhotoshopにのめりこんでいる。行く先は、喫茶店(ミスタードーナツ、スターバックス)、図書館、電車の中、公園、海辺...要するに本が読めれば何処でも良かった。これほどPhotoshopに拘っている自分が可愛い。結局、ミスタードーナツでモーニングセットを取り、1時間ぐらい本を読む。面白くて時間があっという間に過ぎた。
私は、店を出て地下鉄に乗った。未だに行く先が決まらない。海辺の公園で本を読もう、やっと決まった。私は地下鉄を乗り換え金山総合駅に向かった。 金山総合駅に着いた。だが、未だに行く先が決まらない。名鉄電車、JR...なんでも良かったのだが。時間は午前10時20分。迷った挙句、名鉄電車で河和に行くことにした。河和は知多半島の南東にあり三河湾に面している。その昔は海水浴場として賑わっていたが、今はその影を見ることも出来ず、特徴の無い街になってしまっている。だが、師崎へ向かうバスや三河湾の島への高速船の発着場があり、その点では交通の要所といえるかもしれない。
私は、河和の2つ前の”富貴(ふき)駅”で下車した。駅を出ると強烈な太陽が私を襲ってきた。東に10分も歩くと海に出た。平日ということもあり全く人がいない。本を読むのに適した場所を探したが、その愚行に嫌気がさしてきた。目の前に広がる大自然を前にしてそのおろかさに気づいた。
ここから海岸線を約8km、河和まで歩くことに決めた。太陽は真上にあった。私は幸せな気持ちで一杯であった。こうして元気に歩けることが。何処からか畑焼きの煙が流れてきた。その煙の匂いになぜか幼い日の記憶が蘇ってきた。傍らの草むらではキリギリスが季節を間違えて鳴いている。キリギリスは真夏の虫なのだ。左手には中部電力の敷地が続き、海を遮っていた。2kmも歩くと再び海が広がってきた。遠くに師崎と佐久島が見える。それを目指して歩く。スピードは時速4kmといったところか。海からの風は完全に秋になっていた。
1時間ぐらい歩くと右手に時志観音があった。山上にあるので、かなりきつい階段を上らなくてはならない。止めようかとも思ったが、負けず嫌いの性格が頭をもたげる。私は階段の途中で休憩を取りながら山上まで辿り着いた。息が切れて苦しかった。確実に心臓の力が落ちていることを自覚した。家内安全を願って再び階段に向かった。ふと目をやると三河湾が一望に広がっていた。早速、写真を撮る。
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そこから30分も歩くと河和の街である。私は駅前の食堂で穴子丼とアサリ汁で昼食を取った。金1,050円。到底、美味いとはいえないが空腹を満たすには十分であった。1時16分発の座席指定列車に乗り名古屋に向かった。全工程3時間弱の小さな小さな旅であった。私は今日の旅で一寸した自信を持った。病人であるという自覚を持ち、ゆっくりとマイペースで無理をしなければ、ウオーキングを再び楽しめるのだ。
今年の2月以来、私を苦しめていた突発性難聴によるめまいが、ここに来て随分と和らいできた。こうしてウオーキングが楽しめるようになったのもそれが要因である。心臓への不安感が薄らいでストレスが減ったのだろう。